この記事は、つるが厳選する「人生設計の名著3冊」シリーズの第3回です
- 幸福の「資本」論 — どこで幸せになるかを決める
- シンプルで合理的な人生設計 — どう攻略するかを決める
- DIE WITH ZERO(この記事)— いつ使うかを決める
「老後が不安だから、とりあえず貯めておく」——多くの人が、なんとなくこの状態にいます。
投資家でもあるビル・パーキンスが書いた『DIE WITH ZERO(ダイウィズゼロ)』は、従来のお金の本とは真逆の主張をする一冊です。「貯めて備える」ことを推奨する一般的な資産形成本に対し、この本は「死ぬときに資産をゼロにする」ことを勧めています。
ただし、浪費の推奨ではありません。
「命の時間を使って稼いだお金を、一度も使わずに墓場まで持っていくことは、実質的に自分の命を無駄にしたことと同義なのでは?」
という問いがテーマです。本質的には「人生を通じて得られる、幸福と体験=満足感、を最大化する」ための、実践的なライフデザインの本です。
この記事では、『DIE WITH ZERO』の要約として、9つのルールの核心と「思い出の配当」という考え方を整理し、実際に読んで家計への向き合い方がどう変わったかまでまとめます。
つる『DIR WITH ZERO』を読んでみました!!
- 「思い出の配当」という、体験を資産として捉える考え方
- お金・時間・健康のトレードオフと、年齢による変化
- なぜ資産の取り崩しを45〜60歳で始めるべきなのか
- 遺産を「生きているうちに」渡すべき理由
この記事の結論
- 体験は「思い出の配当」を生み続ける資産。早く払うほど受け取れる総量が増える
- 高齢になるとお金があっても楽しむ身体のキャパが失われる
- 資産のピークは65歳ではなく「45〜60歳」に置く
- 遺産は死後ではなく、子どもが最も活かせる時期に渡すほうが効率がいい
『DIE WITH ZERO』とはどんな本か
著者のビル・パーキンスは、エネルギー分野のトレーダーとして成功し、現在はヘッジファンドのマネージャーでありながら、ハリウッド映画プロデューサー、ポーカープレーヤーとしても活動する人物です。本書が初めての著書になります。
運用の理論書ではなく、稼いだお金をどう使い切るかを扱った本である点が、他のマネー本と決定的に違うところです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 書名 | DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール |
| 著者 | ビル・パーキンス |
| 訳者 | 児島修 |
| 出版社 | ダイヤモンド社 |
| 発売 | 2020年9月 |
| 定価 | 1,980円(本体1,800円+税10%) |
| ページ数 | 280ページ(46上) |
| ISBN | 9784478109687 |
| ジャンル | 自己啓発/マネー・人生設計 |
『DIE WITH ZERO』9つのルール一覧
本書は、9つのルールで構成されています。
| ルール | 内容 |
|---|---|
| ルール1 | 「今しかできないこと」に投資する |
| ルール2 | 一刻も早く経験に金を使う |
| ルール3 | ゼロで死ぬ |
| ルール4 | 人生最後の日を意識する |
| ルール5 | 子どもには死ぬ「前」に与える |
| ルール6 | 年齢にあわせて「金、健康、時間」を最適化する |
| ルール7 | やりたいことの「賞味期限」を意識する |
| ルール8 | 45〜60歳に資産を取り崩し始める |
| ルール9 | 大胆にリスクを取る |
3冊の中では最も読みやすく、章立ても明快です。各ルールが独立しているので、気になったルールから拾い読みもできます。
①「思い出の配当」という考え方
株式投資では保有しているだけで定期的に配当金が得られますが、この本の著者は、お金だけでなく「体験」も将来にわたって心の栄養という配当を生み出す資産だと定義しています。
20代で体験した刺激的な一人旅や友人との思い出は、その後の人生で何度も思い出しては心を豊かにしてくれる。つまり、記憶の配当が何十年も支払われ続けます。
一方、80代になってから同じ体験をしても、その配当を受け取れる期間、つまり残りの人生はわずかしかありません。
『体験に早くお金を払うほど、人生全体で受け取れる利息=思い出の配当は、大きくなる』
シンプルですが、貯蓄一辺倒の発想を根本から揺さぶる視点です。
② 3つの要素のトレードオフ「お金」「時間」「健康」
人間は人生のフェーズによって持っているものが変化します。
| 時間 | 健康 | お金 | |
|---|---|---|---|
| 20〜30代 | ○ | ◎ | △ |
| 40〜50代 | △ | ○ | ○ |
| 60代以降 | ◎ | △ | ◎ |
多くの人は「老後の不安」からお金を貯め続けますが、高齢になると体力や健康が衰え、できる体験の種類や感度が制限されてきてしまいます。
お金があっても、それを楽しむ身体のキャパが失われてしまえば、価値を100%引き出すことはできません。
本書のルール6は、まさにこの3要素を年齢にあわせて最適化することを扱っています。「金の価値は加齢とともに低下する」「中年期には、金で時間を買いなさい」といった項目が並びます。
③ 資産の取り崩しピークは「45歳〜60歳」
一般的なFPのアドバイスでは、65歳の定年まで資産を増やし続けますが、この本では、45歳〜60歳のどこかで資産を減らし始める(資産のピークを迎える)ことを推奨しています。
70代になってから毎年大きな資産を使おうと思っても、体力的に高級ホテルを巡るような旅行すら、苦痛になる場合があるためです。
まだ健康で活発に動ける40代・50代のうちから、意識的にお金を使い始める必要があるとしています。
本書では、資産のピークを「金額」ではなく「時期」で決めるべきだと説明されます。いくら貯まったら使い始めるか、ではなく、何歳から使い始めるかを先に決める——ここが発想の転換点です。
④ 遺産は「生きているうちに」引き継ぐ
子どもにお金を遺すこと自体は素晴らしいことですが、親が死ぬとき(80〜90代)に遺産を譲っても、受け取る子どもはすでに50〜60代である可能性、つまり人生で一番お金や経験を必要としている時期を通り過ぎているかもしれません。
子どもが最もお金を活かせる時期(26歳〜35歳頃)に生前贈与などで与える方が、親の目の前で子どもの成長や体験に還元され、お互いの幸福度が最大化すると主張されています。
本書でも「金の価値を最大化できる年齢は26〜35歳」という項目が立てられており、著者がこの年齢帯を明確に意識していることがわかります。
あなたの資産ピークはいつ?3つの質問でチェック
読みながら手が止まりやすいのが「で、自分はいつから使えばいいんだ?」という部分です。ざっくり判定する目安を置いておきます。
Q1. 今の貯蓄ペースを続けたら、80歳時点で資産が余りそうですか?
→ YES なら使い始めが遅すぎるサイン
Q2. 「いつかやりたいこと」を、具体的な年齢の箱に振り分けていますか?
→ NO ならタイムバケットが未作成
Q3. 親や子どもと過ごせる残りの回数を、数えたことがありますか?
→ NO なら賞味期限を意識できていない
3つとも問題なければ、すでにかなり意識的に設計できています。1つでも当てはまるなら、そこが放っておくと後悔になる部分です。
特にQ2の「タイムバケット」は本書のルール7で扱われる考え方で、やりたいことを年代ごとの箱に振り分けるという手法です。リスト化しただけの願望は、たいてい実行されません。
読んでみて:「貯める」を目的化しない
一般的な資産形成の本で学べる利回りを、この本の実用性で考えると、資産運用による利回りを考慮しながら「生きていくのに絶対必要なお金」のラインを明確にし、それ以上の「過剰な貯蓄」部分を、どんどん体験へと換えていくというわけです。
なんとなく貯め続けている人ほど刺さる内容なのかな、という感想です。
「貯める」を目的化しない、という主張は、日頃「目的から逆算する」という発想でお金の話をしている自分の軸ともかなり近い部分があります。
家計管理、ポイ活やクレカ最適化も、突き詰めれば「今の暮らしをどう豊かにするか」の手段であって、貯め込むこと自体がゴールではありません。
将来の安心のために今を我慢しすぎるのではなく、今この瞬間にしかできない温度感のある体験に適切にお金と時間を投資し、思い出という一生の配当を得ていくことが、後悔のない人生につながると考えてます。
親と一緒に旅行に行ったり、子供と若いうちに遊ぶ価値を再認識できました。




本書の結論は「過剰な貯蓄を体験に換える」
『DIE WITH ZERO』は、貯金を否定する本ではありません。
必要額のラインを明確にしたうえで、それを超える部分を体験に振り向ける。必要額の見積もりを飛ばすと、ただの浪費になります。ここを誤読すると、本書の主張は真逆に働いてしまいます。
逆に言えば、「いくらあれば足りるのか」を計算できる人ほど、安心して使えるということでもあります。
『DIE WITH ZERO』はこんな人におすすめ
つるがこの本を読んで感じた、おすすめしたい人・向いていないかもしれない人を参考までに整理してみました。
おすすめしたい人
- なんとなく貯め続けていて、使うのが怖い人
- 老後資金の不安に引っ張られすぎている人
- 子どもや親との時間の使い方を考えたい人
- 資産形成は進んでいるが、使い方の基準がない人
向いていないかもしれない人
- まだ生活防衛資金が貯まっていない人(先に土台を作るほうが優先です)
- 具体的な投資手法や節約テクニックを求めている人
- 貯蓄が目的化していない自覚がある人(得られる気づきは少なめかもしれません)
『DIE WITH ZERO』をお得に読む方法
| 方法 | 向いている人 | ポイント |
|---|---|---|
| 電子書籍(Kindle等) | すぐ読みたい人・安く読みたい人 | 紙より安く設定されていることが多い。9つのルールごとに読み切れるので、スキマ時間と相性がいい |
| 紙の単行本 | 手元に置きたい人 | 定価1,980円。ハードカバーで読みやすい造り |
| 楽天ブックス | 楽天経済圏の人 | 定価1,980円なので、買い回りの1冊として条件を満たしやすい |
| 読み放題サービス | まず試したい人 | ルール1だけ読めば方向性がつかめる。対象タイトルは入れ替わるため要確認 |
| オーディオブック | 通勤・家事の時間を使いたい人 | 具体例が多く物語調なので、音声でも内容が入ってきやすい(配信状況は各サービスで要確認) |
本書を読んだあとなら、書籍代は「思い出の配当」を生む体験への支出だと考えることもできます。少額の支払いこそ、還元率の差が静かに積み上がる部分でもあります。
あわせて読みたい
橘玲さんの『シンプルで合理的な人生設計』では、第6章で「『ゼロで死ね』は正しいのか?」というテーマが立てられ、本書の主張が正面から検証されています。体験と蓄財のトレードオフをどう考えるか——2冊を並べて読むと、対比がはっきりして面白い部分です。
また、その前著『幸福の「資本」論』を先に読んでおくと、「そもそも自分は何に使うべきか」という土台が決まるので、本書の実行力が上がります。
よくある質問
『DIE WITH ZERO』はどんな人向けの本ですか?
貯蓄が目的化している人、老後不安からお金を使えなくなっている人向けです。資産形成の入門書ではなく、貯めたお金をどう使うかを扱った本なので、ある程度貯蓄が進んでいる人ほど刺さります。
「ゼロで死ぬ」は貯金するなという意味ですか?
違います。生きていくために絶対必要なお金のラインを明確にしたうえで、それを超える「過剰な貯蓄」部分を体験に換えていこう、という主張です。必要額の見積もりを飛ばすと、ただの浪費になります。
「思い出の配当」とは何ですか?
体験を、配当を生み続ける資産として捉える考え方です。若い頃の体験ほど、その後の人生で何度も思い出され、長い期間にわたって心を豊かにしてくれます。体験に早く払うほど、受け取れる配当の総量が大きくなるというのが本書の主張です。
資産を取り崩し始めるのは、本当に45〜60歳でいいのですか?
本書のルール8がまさにこのテーマです。ただし、必要額の計算が前提になります。日本では公的年金や医療制度の前提が米国と異なるため、自分の必要額を計算したうえで時期を決めるのが現実的です。
文庫版はありますか?
2026年8月時点で、公式書籍ページに掲載されているのは紙の単行本(46上・ハードカバー)と電子版のみです。ハードカバーは持ち運びにやや不向きなので、通勤中に読みたい場合は電子版を選ぶことになります。
20代・30代でも役に立ちますか?
むしろ若いほど効きます。思い出の配当は受け取れる年数が長いほど有利になるためです。同時に、複利で資産を育てられる期間も長い。両方を同時に設計できるのが若い世代の強みです。
紙と電子はどちらが読みやすいですか?
ルールごとに独立した構成なので、拾い読みするなら紙が便利です。一方、電子版は紙より安く設定されていることが多く、セールやポイント還元も活かせます。通勤時間に読むなら電子版が有利です。
まとめ
- 体験は「思い出の配当」を生む資産。早く払うほど受け取れる総量が増える
- お金・時間・健康はトレードオフ。楽しむ体力があるうちに使う
- 資産のピークは金額ではなく時期で決める。目安は45〜60歳
- 遺産は死後ではなく、子どもが最も活かせる時期に渡す
なんとなく貯め続けている人ほど刺さる内容です。3冊の中では最も読みやすいので、ここから入るのもおすすめします。
次に読むおすすめの本はこちら。




執筆者
くま
- 東京生まれの40代
- クレカや銀行の使い方、資産形成の方法をYouTubeで発信中
- YouTubeではサムネ、タイトル・概要欄の作成、いただいたコメントの返信
- メインクレカはマリオットボンヴォイ
- FP保有
- 趣味は散歩(毎日5km以上、1万歩以上)
出典:ダイヤモンド社 公式書籍ページ https://www.diamond.co.jp/book/9784478109687.html


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